しじみでアンモニアを無毒化(しじみがアンモニアを分解)

アンモニアとしじみの関係

アンモニアというと、トイレなどで発生するあの独特の刺激臭を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
どうしてトイレでアンモニアが発生するかといえば、尿の中に含まれる尿素がトイレに生息している雑菌の栄養源となり、アンモニアと二酸化炭素に分解されるためです。
ところで、アンモニアが充満したトイレに出くわした時、むせたり、鼻が刺激されたりしたことはありませんか?
実は、アンモニアは法律で劇物※1に指定されるほど、毒性の強い物質です。
※1 劇物は2~20gを誤飲した場合、致死量に達する物質のこと。

それにも関わらず、私たちの体では汗やおならでアンモニアの臭いがするなど、体内にアンモニアが存在していることは経験上よく知られています。
しかし私たちは普段の生活で、アンモニアの毒に侵されている感じはありません。
それは私たちの体に、アンモニアを無毒化するシステムを持っているからで、しじみの栄養素がこのシステムに深く関係しています。
今回は、しじみとアンモニアを無毒化するシステムの関係についてお話します。

アンモニアとはどんな物質?

アンモニアとは窒素原子が1個、水素原子が3個結合した、最も小さく単純な分子構造の窒素化合物です。
アンモニアは自然界に普通に存在し、常温では無色透明な気体で、俗に「トイレの臭い」と呼ばれる独特の刺激臭があります また、水や油に非常に溶けやすい性質があります。

アンモニアはなぜ有害なのか

アンモニアは人体にとても有害な物質で、工業的に生産されるアンモニアは「毒物及び劇物取締法」で劇物に指定されています。
アンモニア濃度が僅か0.1%の空気であっても、吸引すると目や鼻の粘膜に侵入し、角膜炎や呼吸困難、肺浮腫、肺出血などのアンモニア中毒症を引き起こします。
アンモニアは分子が小さく、しかも水や油に溶けやすいため、脳や神経細胞に侵入すると機能を麻痺させます。
その結果、意識障害や神経障害を引き起こします。

また、体の各細胞の中には、ミトコンドリアというエネルギーを生産する小さな器官があります。
分子の小さいアンモニアは、細胞を守る細胞壁を簡単にすり抜け、このミトコンドリアの活動を阻害します。
ミトコンドリアの活動が阻害されると、エネルギーの生産ができなくなり、疲労が蓄積します。

アンモニアは体内で生産されている

自然界に普通に存在するアンモニアですが、実は体内で常時生産されています。
アンモニアが体内で生産されるのはたんぱく質を代謝した時で、主に2つの経路があります。
(1)食物で摂取したたんぱく質が、消化の過程で分解される。
(2)体を組織するたんぱく質が代謝される。

たんぱく質の消化とアンモニアの発生

私たちが食事から摂取したたんぱく質は、胃酸でアミノ酸に分解され、小腸で吸収されます。
たんぱく質がアミノ酸に分解されると、その過程で余分な窒素と水素が結合しアンモニアが生成されます。
消化で発生したアンモニアは、小腸で吸収され、血液中に溶け込みます。

体の組織の分解とアンモニアの発生

体の組織を構成する細胞は、たんぱく質でできています。
体の組織は機能を維持するために、常に細胞を入れ替える新陳代謝を行っています。
新陳代謝で古くなって死んだ細胞は、酵素で分解されます。
また、運動で血液中の糖分が尽きてエネルギーが不足すると、エネルギーにしやすい筋肉のたんぱく質が分解され、エネルギーに代謝されます。
これらの体の組織のたんぱく質を分解する過程で、アンモニアが発生します。
この時に発生したアンモニアも、血液中に溶け込みます。

アンモニアの無毒化は肝臓で

血液に溶け込んだアンモニアはそのままでは体に危険なため、非必須アミノ酸のグルタミン酸と共に代謝され、グルタミンというアミノ酸になります。
グルタミンとなったアンモニアは、血液で最終的に肝臓に運ばれます。
肝臓はエネルギーの生産や酵素の生産など様々な役割があります。
その役割の1つに、体内に侵入した有毒な物質を無毒化する役目があります。
肝臓は有毒な物質を、その物質に対応する酵素や化学物質などを用いて無毒化します。

アンモニアを無毒化するのが、肝臓にある尿素回路と呼ばれるシステムです。
尿素回路は、アンモニアを代謝して無毒な尿素に代謝します。
肝臓に運ばれてきたグルタミンは、肝臓で代謝され再びアンモニアとグルタミン酸に分解されます。
分解されたアンモニアは、今度は尿素回路で無毒な尿素に代謝されます。
尿素になったアンモニアは、血液で腎臓に運ばれ、尿と共に体外に排泄されます。

肝臓の尿素回路

尿素回路は、肝臓の細胞の中のミトコンドリアに存在します。
尿素回路でアンモニアを代謝する際に必要な成分が、しじみが豊富に含有する遊離アミノ酸※1のオルニチンです。
そのため、尿素回路を別名「オルニチン回路」とも呼びます。
尿素回路を動かすには、オルニチン以外にも様々な酵素でミトコンドリアを活性化する必要があります。
尿素回路で使用される酵素もまた、肝臓で生産されます。
しかし、加齢とともに肝臓の機能が衰えると、肝臓での酵素の生産力が低下します。
その結果、肝臓でアンモニアの代謝能力が低下し、体中から運ばれてくるアンモニアの無毒化が間に合わなくなります。
※1 遊離アミノ酸とは、他のアミノ酸と結合しなくとも単独で作用するアミノ酸。

疲労は肝臓のアンモニアの処理能力低下が原因

肝臓でアンモニアの無毒化が間に合わなくなると、肝臓にアンモニアが充満し、肝臓にエネルギーを与える肝細胞内のミトコンドリアの活動も阻害されます。
その結果、肝臓の他の機能も低下し、体に様々な不調をもたらします。
肝臓は、糖質、脂質、たんぱく質を代謝してエネルギーに生産する役割もあります。
肝臓でのエネルギーの生産が十分でないと、疲労が蓄積し、疲労の回復も遅くなります。
尿素回路を活性化する酵素の生産が低下した肝臓では、より多くのオルニチンが必要となります。

オルニチンが豊富なしじみ

尿路回路を活性化する酵素の生産が落ちた肝臓では、オルニチンを単独で摂取することがアンモニアの無毒化に効果的です。
しかし、遊離アミノ酸のオルニチンを単独で含有する食品は多くありません。
オルニチンを含有する食品はしじみをはじめ、きのこ類やチーズ、ヒラメやキハダマグロなどが挙げられます。
その中でも、しじみのオルニチン含有量は非常に高く、100gあたり10.7~15.3mgも含有します。

しじみでアンモニアの無毒化を促進

じしみでオルニチンを直接摂取すると、小腸で吸収され、血液で肝臓に運ばれます。
そして、肝臓の尿素回路に直接働きかけ、アンモニアの無毒化が促進されます。
その結果、アンモニアに侵された肝臓の他の機能も活性化します。
また、しじみは肝臓で酵素やエネルギーの生産に補酵素として作用するビタミンB群も豊富です。
アンモニアで活動が阻害されていたミトコンドリアのエネルギー生産も活性化するので、疲労も早く回復します。

まとめ

アンモニアは人体に有害な窒素化合物で、神経細胞を麻痺させ、エネルギーを生産するミトコンドリアの活動を阻害する作用があります。
アンモニアは、体内でたんぱく質を分解すると生じます。
体内で発生したアンモニアは血液で肝臓に運ばれ、肝臓の尿素回路で無毒な尿素に代謝され、尿と共に体外に排泄されます。
尿素回路の活動には、しじみに豊富なオルニチンが必要不可欠です。
加齢で肝機能が低下すると、肝臓で生産される尿素回路を活性化する酵素の分泌量も低下し、アンモニアの処理が間に合わなくなります。
肝臓にアンモニアが充満すると、アンモニアの毒性でエネルギーの生産など他の肝機能も阻害され、体調不良や疲労蓄積の原因となります。
肝機能の衰えた肝臓には、より多くのオルニチンが必要となります オルニチンを含有する食品は少ないため、しじみのようにオルニチンが豊富な食品を積極的に摂取することで、アンモニアの無毒化が促進され、健康で疲れ知らずの体を手に入れられます。
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