ビールの後はしじみが最高(しじみとビールの相性は)

しじみとビールの相性は?

居酒屋に入ると「とりあえず、ビール」が合言葉になっているほど、ビールは私たちにとって身近なアルコール飲料です。
ビールは他の日本酒や焼酎などに比べアルコール度数が少なく、炭酸により喉越しがいいため、ついつい飲み過ぎてしまうもの。
しじみは、ビールなどの二日酔い軽減に効果があるとして注目を浴びています。
一方でビールには体に有益なさまざまな効果があり、しじみを一緒に摂取すると何か相乗効果があるのでしょうか?
今回は、しじみとビールの相性についてお話します。

ビールとは

ビールは、大麦を発芽させることで中のデンプンが糖化した状態になる麦芽を主原料としています。
これをビール酵母で発酵させて糖質をアルコールに変え、アサ科の植物のホップの受粉前の雌株が持つ毬花(きゅうか:花の集合体のこと)を混ぜて香りづけした、炭酸を有するアルコール飲料です。

その歴史は古く、紀元前4000年くらい前にメソポタミア文明のシュメール人によって作られはじめ、麦の製法の伝播と共に世界各国で製造されるようになります。
日本のビールはアルコール度数が4~5度が主流でアルコール飲料として扱われます。
しかし、日本と違い外国ではミネラルの多い硬水が多く飲料に不向きなため、他のアルコール飲料と比べるとアルコール度数が低いビール(0.5~1度)が飲料水代わりになっている場合もあります。

ビールの栄養価

ビールは9割以上が水分で、3.5~5%のアルコールと3.5%前後の炭水化物を含有し、エネルギー量は100gあたり43kalです。
他にたんぱく質や旨味成分のグルタミン酸、アスパラギン酸、ビタミン類ではビタミンB群、必須ミネラルではナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、セレンなどを含有します。
しかし、摂取基準に照らし合わせた場合にはどれも微量なので、これらの栄養が体に与える影響は大きくありません。

ビール酵母

ちまたでは、ビールにはビール酵母が入っているため必須アミノ酸などが豊富と言われています。
たしかにビール酵母は必須アミノ酸全てが揃い、しかもビタミンB群が豊富な成分です。
しかし、発酵を終えたビール酵母は樽の中に沈殿し、除去された上に殺菌されるため、市販のビールの中にはビール酵母は入っていません。

ビールの効果

ビールが身体にもたらす効果は、栄養素よりもアルコールやビールの苦味や香りづけに用いられるホップが大きく影響します。

アルコール

「酒は百薬の長」という諺があるように、個人差はありますが1回の摂取量が20~50mg/dlの適度なアルコールの摂取は、以下の有用な効果を発揮します。
(1)ストレス解消
(2)血行促進
(3)インスリンの分泌促進
一方で「酒は百毒の長」とも呼ばれ、過度の飲酒や長期に渡る飲酒は逆効果になったり、アルコール依存症や身体に様々な不具合を発生させたりするので注意が必要です。

ストレス解消

アルコールを摂取すると、脳内で神経伝達物質を受容する受容体のたんぱく質に結合し、機能を変化させることが知られています。
適度な飲酒であれば、快楽を司るドーパミンの分泌が促進され気分が快活になり、ストレスを発散しポジティブな気分にしてくれます。
また、ドーパミンは学習能力を司る神経伝達物質なので認知症などの予防にもなります。

しかし、過度の飲酒では他の神経伝達物質の受容体の機能が阻害されるため、ドーパミンの作用が暴走し欲望のままに行動するようになるので感情の起伏が激しくなります。
また、脳内の神経組織も破壊するためアルコール依存症などに陥る危険性があります。

血行促進

適度な飲酒であれば、善玉コレステロールと呼ばれる血中のHDLコレステロールが増加し、凝固作用のある血中の血小板の働きを抑制するため血行が良くなります。
しかし、この効果があるのは飲酒後1時間程度で、4時間後は血小板の凝固作用が逆に増加し、さらにアルコールの利尿作用で血中の水分も減少するので、ドロドロの血液の原因となる場合があります。

インスリンの分泌促進

アルコールは血糖値を下げるインスリンの分泌を促進する作用があり、微量であれば末梢組織のインスリンの感受性を高める効果があります。
しかし、過度の飲酒では逆にインスリンの分泌を低下させ、慢性化すると境界型糖尿病と呼ばれる耐糖能障害を発症します。

ホップ

ホップはもともと鎮静効果や胃の健康をもたらすハーブとして用いられていた薬草です。
ホップの作用により、ビールは以下の3つの有効成分を含有します。
(1)イソフムロン
(2)キトサントフモール
(3)フィストロゲン

イソフムロン

イソフムロンはホップに含まれる苦味成分の一種であるフムロンが、醸造過程で分解された物質で、ポリフェノールの一種です。
イソフムロンは肝臓での中性脂肪の蓄積を抑制し、善玉コレステロールを増やす効果があり、また血糖値を下げるインスリン受容体の機能を回復する効果があります。
更に、各種ホルモンの分泌や自律神経を整える効果があります。

キサントフモール

キサントフモールもホップの苦味成分の一つで、ポリフェノールの一種であるフラボノイドに分類される成分です。
悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールが増える理由は、善玉コレステロールであるHDLコレステロールからコレステロールと脂肪酸でできたコレステリルエステルが転送されるためです。
その転送に関わるのがCETP(コレステリルエステル転送蛋白)で、キサントフモールはCETPの作用を阻害する効果があります。
これにより、血中のHDLコレステロールが増え、サラサラの血液となり、動脈硬化が予防できます。

フィストロゲン

フィストロゲンはホルモンに似た作用のあるホルモン様物質として機能し、女性ホルモンのエストロゲンの代替成分として作用します。
エストロゲンは女性にとって排卵や肌や髪の合成、自律神経の安定化、骨の形成に関わるホルモンで、加齢とともに減少します。
フィストロゲンはエストロゲンと似た分子構造なので、エストロゲン受容体に結合でき、加齢で減少したエストロゲンの機能を補う効果があります。

ビールのその他の効用

ビールの発酵過程で生まれる炭酸や、ホップの苦味成分や香りは胃酸の分泌を促進するため、食欲を高めます。

しじみとビールの関係

ビールは喉越しがよく、アルコール度も低いため、ついつい飲み過ぎて二日酔いの原因となってします。
また、ビール自体はカロリーが低いものの、ビールに含まれる成分で食欲が増すため、おつまみを食べ過ぎ、俗に言うビール腹のような肥満を誘発し、成人病のリスクを高めてしまいます。
しじみは二日酔いに効果を発揮するオルニチンが豊富で、更にビールの効果の一つである動脈硬化の予防に役立つ栄養素も多く含有しています。

二日酔いと肝臓

肝臓の役割の一つとしてアルコールの分解があります。
アルコールは人体では有害な物質と見なされ、胃や小腸で吸収されると血液を通じて肝臓に運ばれ、まずはアルコール脱水素酵素によりアセトアルデヒドに代謝されます。
アセトアルデヒドはアルコールよりも更に有毒な物質なので、今度はアセトアルデヒド脱水素酵素で酢酸に代謝され、さらに酢酸は最終的に水と二酸化炭素に代謝され、尿として排出されます。
しかし、摂取したアルコールの量が肝臓の処理を超えると、肝臓で処理しきれないアセトアルデヒドがいったん血液を通じて体を循環し、体の機能を阻害するため、二日酔いの疲れの原因となります。

しじみのオルニチンと肝臓

肝臓はアルコールの分解だけではなく、他にも500種類もの化学反応を行い体の機能を保つ重要な臓器で、その役割の一つに体内で発生した有毒なアンモニアの処理があります。
しじみが豊富に含有するオルニチンは、この有毒なアンモニアを無害な尿素に代謝する尿素回路で必要不可欠な物質です。
アンモニアは食事や運動などでたんぱく質が分解されると生じるため、血液を通じて体中から回収され肝臓で処理されます。
肝機能が衰えアンモニアの処理が低下すると、アンモニアの毒性により疲労が蓄積しやすくなります。

オルニチンと二日酔い

もともと日本人はアルコールを分解する酵素の働きが弱い傾向があります。
アルコールを摂取すると、肝臓の機能がアルコールの分解に集中するので、肝臓の他の機能が低下します。
アンモニアの処理も後回しになるので、アセトアルデヒドとアンモニアの毒素により普段よりも疲労が蓄積しやすくなり、さらに肝臓に集まったアンモニアが原因で肝機能は更に低下します。
オルニチンを摂取すると肝臓で尿素回路を活性化し、アンモニアの処理能力が高まり、アンモニアによって機能が衰えた肝臓を活性化するので、アルコールの分解速度が高まります。
結果として有毒なアセトアルデヒドがもたらす損害が短くなるので、二日酔いが軽減します。

しじみと動脈硬化の予防

ビールは適度なアルコールと、ホップに含まれるイソフムロンやキサントフモールの作用で動脈硬化を予防できます。
しじみは動脈硬化の原因となるLDLコレステロールの酸化を防ぐ抗酸化物質のビタミンEが豊富で、血液をサラサラに保つ効果があります。

また、肝機能が衰えると中性脂肪が肝臓に蓄積し、LDLコレステロールが過剰に生産されます。
肝臓にエネルギーを供給する肝細胞内のミトコンドリアはアンモニアによって機能が阻害されます。
オルニチンでアンモニアの処理を高めると、ミトコンドリアが活性化し、肝臓に蓄積した脂肪をエネルギーに代謝し、LDLコレステロールの生産を減少できます。
さらに、しじみが豊富に含有するビタミンB2とビタミンB6は、共に脂肪の代謝に関与する栄養素なので、肝臓でのエネルギー代謝を高める効果があり、肝臓の脂肪蓄積を予防します。

まとめ

ビールは他の酒類に比べアルコール度数が低く、適度な飲酒であればストレスの解消や、血行促進、インスリンの分泌促進による血糖値の低下などの効果があります。
また、ビールの苦味や香りを演出するホップの影響で、ポリフェノールの一種のイソフムロンやキサントフモール、女性ホルモン様物質のフィストロゲンを含有します。
イソフムロンやキサントフモールはLDLコレステロールの抑制で動脈硬化を予防し、フィストロゲンは加齢で分泌量が減少するエストロゲンに替わり、肌の若さを保ち骨粗しょう症を予防します。

しじみはビールの飲み過ぎによる二日酔いに効果を発揮するオルニチンが豊富です。
更にイソフムロンやキサントフモールと相乗効果を発揮し動脈硬化を予防するビタミンB2、ビタミン6、ビタミンEも豊富に含有します。
ビールの後に二日酔い防止にしじみのみそ汁を摂取すれば、ビールの利尿作用で失われる水分や必須ミネラルも補えるので、ビールとしじみは非常に相性がよいのです。
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