鶏のムネ肉としじみで筋力UP (鶏肉としじみの相乗効果)

筋肉増強に鶏のムネ肉としじみがいい?

最近ちまたで話題なのがサラダチキン。
味付けされた鶏のムネ肉を真空パックしたもので、コンビニやスーパーなどで販売され、脂身が少なくとてもヘルシー。
そのまま食べても、他の料理にアレンジしても手軽にレパートリーが広がるので使い勝手がよく、若者や主婦、そしてたんぱく質が特に必要なアスリートの間では定番の食材になりつつあります。
実はこの鶏のムネ肉としじみはとても相性がよく、特に筋肉をつけたい方にとって多くの恩恵をもたらしてくれます。
今回は鶏のムネ肉としじみの相乗効果についてお話します。

鶏ムネ肉の栄養素

私たちが食事で主要な肉類として摂取するのは牛、豚、鶏肉です。
その中でも鶏肉は比較的脂肪とカロリーが少なく、特に鶏ムネ肉やささみは「たんぱく質は欲しいが脂肪が気になる」アスリートが好んで食べる部位です。
実際に鶏のムネ胸肉100g当たりの三大栄養素は以下の表のとおりです。
鶏ムネ肉 摂取基準
炭水化物

-

320g

脂質

11.6g

55g

たんぱく質

19.5g

75g

炭水化物は含まず、脂質も動物性の食品ですが摂取基準の1/5程度しかなく、たんぱく質は摂取基準の26%です。

鶏ムネ肉のたんぱく質量

実は鶏ムネ肉の100g当たりたんぱく質量が19.5gというのは、1食あたりで考えると非常に理想的な数字です。
1食でたんぱく質が体内に吸収されるのは20~30gが限度で、それ以上同じ食事で摂取してもエネルギーに代謝されるか脂肪として蓄積されてしまいます。
たんぱく質は他の食材も含有するので、鶏ムネ肉に他の食材を少し加えるだけで1回の食事で必要なたんぱく質量を過不足なく摂取できます。

鶏ムネ肉と人のアミノ酸

吸収したたんぱく質がそのまま筋肉になるかと言えば、決してそうではありません。
人間と鶏で筋肉の質が違うように、鶏肉のたんぱく質を摂取しても一度アミノ酸に分解して、人間の筋肉合成に必要なアミノ酸だけを抽出しなければなりません。
人体を構成するたんぱく質は20種類のアミノ酸で構成され、体内で合成できない必須アミノ酸と、必須アミノ酸を基に体内で合成できる非必須アミノ酸に分かれます。
私たちが筋肉を作るには、体内で合成できない必須アミノ酸を食事で補うことが必要不可欠です。
必須アミノ酸は以下に挙げる9種類のアミノ酸です。
バリン
ロイシン
イソロイシン
トリプトファン
リシン(リジン)
メチオニン
フェニルアラニン
トレオニン
ヒスチジン

鶏ムネ肉の必須アミノ酸

では鶏のムネ肉は100g当たり必須アミノ酸をそれぞれどれだけ含有するか見てみましょう。
必要なアミノ酸量は体重によって異なるので、日本人男性40代の平均体重である70kgを基準に、WHO(世界保健機関)による成人が1日に推奨される摂取量と比較してみます。
鶏ムネ肉 基準値 割合
バリン

1000mg

1820mg

54.9%

ロイシン

1600mg

2730mg

58.6%

イソロイシン

960mg

1400mg

68.6%

トリプトファン

220mg

280mg

78.6%

リジン

1800mg

2100mg

85.7%

メチオニン

540mg

728mg

74.1%

フェルアラニン(+チロシン)

1450mg

1750mg

82.9%

トレオニン

880mg

1050mg

83.8%

ヒスチジン

1000mg

700g

142.9%

人間の体の器官によって合成に必要なアミノ酸は異なりますが、必須アミノ酸が必要な量だけ揃わなければ、その器官に必要な細胞は最小公約数の数しか作ることができません。
つまり、どんなに高たんぱくな食物を摂取しても、各必須アミノ酸を推奨摂取量に対しバランスよく摂らなければ身になりません。
上の表で見ればご理解いただけますが、必須アミノ酸の中、バリン、ロイシン、イソロイシン以外のアミノ酸はWHOの推奨摂取量の75%以上かそれに近い数字です。
バリン、ロイシン、イソロイシンにしても5割を遥かに超えるので全体的に非常にバランスが良いと言えます。

筋肉増強とBCAA

筋肉を作るといっても、たんぱく質を摂っただけでは筋肉は増えません。
筋肉量を増やすにはある程度強度の強い運動が必要不可欠です。
私たちは強度な運動を行うと、体内のエネルギーが消費され、筋組織が随所で破損します。
また血中からエネルギー源の糖質が欠乏すると、筋組織のたんぱく質を代謝して一時的にエネルギーとして消費します。
その時最初に使用されるアミノ酸がBCAA(分岐鎖アミノ酸)であるバリン、ロイシン、イソロイシンです。
また筋組織の破損を修復するために脳下垂体から成長ホルモンが分泌され、たんぱく質の合成に関わるビタミンB2やB6などが補酵素として関わり、摂取しているアミノ酸を基に筋組織を修復します。
この時に損傷した筋組織が過剰に修復されると筋肉量が増えます。
しかし、必須アミノ酸のBCAAはエネルギーとして代謝されているため、外から補わなければ減少した筋組織を元に戻すことはできません。
つまり筋肉を増やすために運動をしても、代謝したBCAAを補充しなければ逆にどんどん筋肉が落ちてゆきます。

鶏ムネ肉としじみのBCAA

鶏ムネ肉の必須アミノ酸でお話ししましたが、他の必須アミノ酸に比べ鶏ムネ肉のBCAAは若干少なめです。
今度は鶏ムネ肉としじみでBCAAの含有量を比較してみましょう。
下の表は鶏ムネ肉としじみを可食部100gで比較したもので、基準値はWHOの成人70kgの人のアミノ酸推奨摂取量を基準にしています。
鶏ムネ肉 しじみ 合計 基準値 割合
バリン

1000mg

300mg

1300mg

1820mg

71.4%

ロイシン

1600mg

380mg

1980mg

2730mg

72.5%

イソロイシン

960mg

250mg

1210mg

1400mg

86.4%

このようにしじみを食事で加えることで鶏ムネ肉が不足気味なBCAAを基準値に対しバランスよく底上げすることができます。

筋肉増強に必要な栄養素

筋肉増強にはたんぱく質は必要不可欠ですが、筋肉としてたんぱく質を合成するためには成長ホルモンの分泌とビタミンB2、ビタミンB6、そして細胞分裂に関わる必須アミノ酸の亜鉛が必要です。
鶏ムネ肉はビタミンB6を豊富に含有しますが、他の栄養素は僅かしか含有しません。
一方しじみはビタミンB2と亜鉛を豊富に含有し、成長ホルモンの分泌を促進する遊離アミノ酸のオルニチンも豊富に含有します。
つまり、鶏ムネ肉としじみを一緒に摂ることで筋肉増量に必要な栄養素をバランスよく摂ることが可能です。

鶏ムネ肉としじみで疲労回復

筋肉増強のために激しい運動をすれば当然疲労が蓄積します。
実は鶏ムネ肉としじみには疲労回復に役立つ特有の栄養素が含まれています。
鶏ムネ肉は
イミダゾールジペプチド
しじみは
オルニチン
です。

イミダゾールジペプチド

イミダゾールジペプチドは動物の骨格筋に広く分布し、アミノ酸が結合した分子の系統群です。
特に長距離を移動する鳥類の胸肉、大海原を周回するマグロやカツオに多い栄養素です。
渡り鳥の移動距離でも分かるように、小さな体で時には何千キロにも渡り移動し、その原動力となるのが胸の筋肉です。
イミダゾールジペプチドは筋肉を激しく動かした時に発生する乳酸の分解を促進し、運動時に発生する活性酸素を抑える抗酸化作用を持ちます。
私たちが食する鶏肉はニワトリで飛ばないからイミダゾールジペプチドは少ないのでは?と思われるでしょうが、実は他の鳥類と同様に豊富に含有しています。
疲労回復にはイミダゾールジペプチドを毎日200~400mg摂取するのが望ましいとされていますが、鶏ムネ肉100gで200mgも含有します。

またイミダゾールペプチドは筋持久力を底上げする効果もあり、毎日摂取することで疲れ知らずの筋肉を作ることができます。

オルニチン

しじみに含まれるオルニチンは有毒な疲労物質であるアンモニアの分解を促進する効果があります。
特に運動中は代謝により大量のアンモニアが体内で発生するので、運動後にしじみを摂取すると疲労回復が早まります。

運動後にビール

運動後に冷たいビールで軽く一杯...を楽しみにしている方も多いでしょう。
実は鶏ムネ肉に大量に含まれるナイアシン(ビタミンB3)と、しじみのオルニチンはアルコールの分解にも効果を発揮します。
ナイアシンは必須アミノ酸のトリプトファンから、オルニチンも非必須アミノ酸のアルギニンから作ることができますが、アルコールの分解時はどちらも大量に必要なので外から摂取した方が効率的です。

ナイアシンとオルニチン

ナイアシンは肝臓でアルコールをアルコール脱水酵素やアセトアルデヒド脱水酵素で分解する時に補酵素として必要不可欠です。
またオルニチンは肝臓でアルコールを分解する時に発生するアンモニアをオルニチン回路で無毒な尿素に代謝することを促進し、肝臓に活力を与えることでアルコールの分解速度を早めます。
運動後のビールのつまみに鶏ムネ肉の油を使わない焼き鳥やバンバンジー、締めにしじみのみそ汁でアルコールによる二日酔いの疲労が回避できるだけでなく、運動でダメージを負った筋肉の修復も促されます。
しかし基本的に運動後のアルコールは体に悪いので、量はほどほどに。

まとめ

鶏ムネ肉はヘルシーで筋肉増強に最適な食材として注目を浴びていますが、鶏ムネ肉だけでは筋肉増強に必要な全ての要素は揃いません。
一方しじみは鶏ムネ肉に不足している栄養素を豊富に含有し、一緒に摂取すると相乗効果で筋肉増強の成果が高まります。
また筋肉を増強するには強度の運動が必要で、それに伴う疲労を回復する物質として鶏ムネ肉はイミダゾールペプチド、しじみはオルニチンを豊富に含有するので非常に効率がいいのです。
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