しじみとニンニクで疲労回復(しじみとにんにくの食べ合わせ)

疲労回復効果のあるニンニクとしじみ

疲労回復のスタミナ食として認知されているニンニク。
今から5000年前の古代エジプトではすでに労働者のスタミナ食として栽培が開始され、世界最古のエジプトの医学書『エーベルス・パピルス』には薬効があることが記されています。
また食欲をそそる香りは中華料理やイタリア料理をはじめとした世界各国の料理に香味野菜として活用されます。
一方で、しじみも最近は疲労回復効果があることで注目を集めています。
しじみとニンニクを同時に摂取すると疲労回復の相乗効果が狙えるのでしょうか?
今回はしじみとニンニクの疲労回復効果についてお話します。

ニンニクの栄養素

ニンニクの主要な栄養素の中で特に多いのがビタミンB群と必須ミネラルのモリブデンで、それ以外の栄養素はさほど多くありません。
しかしニンニクの特筆すべき栄養素として挙げられるのが、スタミナ増進成分であるアリシンです。

アリシン

ニンニクを切るとニンニク特有の強烈な臭みを発生しますが、その臭みのもとが含硫有機化合物のアリシンです。
ニンニクの細胞内にはアリインと、アリインに反応する酵素のアリナーゼが存在します。
アリインとアリナーゼはそのままの状態では特別な効能はありません。
しかしニンニクを切断し細胞が壊され空気に触れると、アリインがアリナーゼに反応して揮発性の高いアリシンに変化します。

アリシンの殺菌効果

実はアリシンは強力な抗菌・抗カビ効果があり、12万倍に希釈しても効果を発揮します。
また人体に有害なコレラ菌やチフス菌に対しても有効で、さらに脂質に富んだ細胞壁を持つため消毒薬などが効きにくい結核菌にさえその細胞壁を通過して撃退します。
つまりアリシンは植物が身を外敵から守るために身に付けた成分です。
実際に生でニンニクを下して使うと刺身などの殺菌に効果を発揮しますが、生ニンニクを食べると胸やけを起こすのはこの強すぎる殺菌効果のためです。

アリシンのスタミナ増進効果

アリシンは不安定な物質で、しばらくすると他の物質と反応して様々な成分に変化します。
アリシンのスタミナ増進効果は、一緒に腸内に入った他の食物のビタミンB1と結合しアリチアミンに変化することで発生します。
アリチアミンは比較的安定した物質で、ビタミンB1単独で腸管から吸収されるよりも吸収率が高まり、体内で再びビタミンB1に分解されます。

ビタミンB1は水溶性ビタミンで「疲労回復ビタミン」とも呼ばれ、糖質のエネルギー代謝を促進する役割があります。
つまりビタミンB1がアリチアミンに変化すると脂溶性になるため吸収率が高まり、尚且つ再びビタミンB1に分解されるまで時間がかかるので、その分ビタミンB1が体内に長く留まります。
ビタミンB1は水溶性ビタミンのため、1度にたくさん摂っても余分な分は尿として排泄されてしまう弱点がありますが、ビタミンB1を一旦アリチアミンとして体内に保管することで、ビタミンB1を無駄にすることなく吸収できるのです。
結果的にエネルギー源の糖質をより効率良く代謝できるため疲労回復効果が高まります。

ビタミンB1は豚肉や穀物の胚芽部分、豆類に多い栄養素です。
豚肉を多用する中華料理や、小麦を使ったパスタが多いイタリア料理でニンニクを多く使うのも何となく頷ける話です。

アリシンの摂取

アリシンはアリインがアリナーゼと反応することで発生する物質ですが、強すぎる殺菌効果のため食べすぎると胃腸を痛めます。
一方、ニンニクを加熱すると胸やけせずに多く食べることができますが、アリナーゼは加熱に弱いので消失しアリインだけが残り、アリシンは発生しません。
実はアリインは体内でビタミンB6が触媒となりアリシンに変化します。
ニンニク自体ビタミンB6が非常に豊富な食物なので、加熱して食しても体内でアリシンに代謝されその効果が得られます。
アリシン自体は不安定な物質なのですぐに他の成分と結合し、生ニンニクでアリシン自体を単独で摂るより胃腸に対する負担が減少し、アリシンの疲労回復効果が得られます。

しじみとニンニクの相性

しじみとにんにくを一緒に摂取すると疲労回復効果以外に様々な効果が期待できます。
しじみとニンニクを一緒に摂取すると以下の効果が発揮されます。
(1)疲労回復(2)造血作用の促進(3)血流の正常化(4)肥満防止による成人病予防

疲労回復

ニンニクはアリシンがビタミンB1の持つ糖質代謝の力を高めることで疲労回復効果が発揮されます。
一方しじみで疲労回復に効果のある栄養素はオルニチンです。
オルニチンはビタミンB1を多く含有する豚肉のたんぱく質を消化したり、エネルギーとしてたんぱく質を代謝したりする時に発生する人体に有害なアンモニアを肝臓で無害な尿素に代謝する際に必要不可欠な成分です。
疲労物質であるアンモニアの代謝を促進することで疲労回復が早まるので、ニンニクのアリシンと一緒に摂取することで相乗効果を発揮し、より早く疲労が回復します。

またアルコールを摂取すると肝臓でアセトアルデヒドが発生します。
ニンニクに多い必須ミネラルのモリブデンはアセトアルデヒド分解酵素を作る際に必要な成分です。
アセトアルデヒドを分解すると、やはりアンモニアが発生するのでしじみのオルニチンとの相乗効果で二日酔いに伴う疲労の軽減につながります。

血作用の促進

赤血球の主成分であるヘモグロビンは鉄とたんぱく質、そしてビタミンB群が必要不可欠です。
しじみとニンニクは共にビタミンB群が豊富な食品です。
それぞれビタミンB群がどれだけ含まれているか見比べてみましょう。

しじみとニンニクのビタミンB群

可食部100gで比較した場合、しじみとニンニクのビタミンB群は以下の通りです。
しじみ ニンニク 成人男子摂取基準
ビタミンB1

0.03mg

0.19mg

1mg

ビタミンB2

0.25mg

0.07mg

1.2mg

ナイアシン

1mg

0.7mg

11mg

ビタミンB6

0.09mg

1.5mg

1mg

ビタミンB12

624μg

-

2μg

葉酸

17μg

92μg

200μg

表から見れば分かるようにしじみはビタミンB12が、ニンニクはビタミンB6が特出して多く、葉酸も比較的多いことが分かります。

血に必要な要素

実は、このビタミンB6とビタミンB12、葉酸はお互いに補うことで造血の相乗効果を発揮します。
しじみは血液中のヘモグロビンを作る際に必要な鉄分、たんぱく質、ビタミンB12を多く含有しています。
しかし赤血球を作るには他にビタミンB6と葉酸が必要で、しじみの含有量は多くありません。
一方ニンニクはビタミンB6と葉酸が豊富なので、しじみとニンニクを一緒に摂取するとより効率的にヘモグロビンを合成できます。

血流の正常化

ニンニクのアリシンをはじめとした含硫化合物の栄養素は血栓を作る原因の一つである血小板の凝固作用を抑制し、サラサラの血液にする効果があります。
また血液中にLDLコレステロールが増えると血管内壁に脂肪がへばりつき血栓の原因となるばかりではなく、脂肪が過酸化脂質に変質して動脈硬化などを引き起こします。
ニンニクのアリシンはLDLコレステロールを抑える効果がある一方で、抗酸化作用もあり、脂肪が過酸化脂質に変質することを防ぎます。

一方でしじみに多いビタミンEは脂溶性の抗酸化物質で、ドロドロの血液の原因であるLDLコレステロールを生産する肝臓に働きかけて脂質の酸化を抑制し、血流をスムーズにします。
またビタミンEは血管の収縮を促す神経伝達物質の抑制作用もあるので血管が拡張します。
にんにくのアリシンとしじみのビタミンEはそれぞれ異なる場所で血流の正常化に作用するので相乗効果が見込めます。

肥満防止による成人病予防

ニンニクのアリシンはビタミンB1の糖質代謝を促進するので、糖質過剰摂取による肥満や糖尿病のリスクを軽減します。
またニンニクに多いビタミンB6は三大栄養素の糖質、脂質、たんぱく質の代謝に必要不可欠な栄養素で、ビタミンB6の代謝は主に肝臓で行われます。
肝臓が正常に機能しないとビタミンB6により三大栄養素がエネルギーに変換されず、脂肪が蓄積し肥満体質となり様々な成人病を引き起こします。

肝臓にエネルギーを供給するのは肝細胞にあるミトコンドリアですが、加齢などが原因で肝機能が低下するとアンモニアの処理能力も低下し、ミトコンドリアの活動も阻害されます。
しじみのオルニチンは、機能が低下した肝臓のアンモニア代謝機能を高めるので肝細胞のミトコンドリアを活性化します。
これによってエネルギーを肝臓に供給できるので肝機能が改善し、三大栄養素のエネルギー代謝もスムーズに行われます。
結果として肥満のリスクが軽減し成人病の予防ができます。

まとめ

しじみのオルニチンと、ニンニクのアリシンはそれぞれ特有の栄養素で疲労回復に効果を発揮します。
またしじみとにんにくは一緒に摂取すると各栄養素の相乗効果が見込まれ、造血作用や血流の正常化、成人病の予防など単独では効果が得られない成果を発揮するので毎日の健康維持に非常に有効です。
人気記事-popular column-