しじみに含まれるグルタミン酸

しじみのグルタミン酸の美味しい効果

しじみは身を食するだけでなく、お出汁にしても美味しい食材。
出汁はしじみの旨味成分が溶け込みコクの決め手になりますが、その旨味成分がグルタミン酸です。
どうして私たちはこのグルタミン酸を美味しいと感じるのでしょうか?
またグルタミン酸は私たちにとって美味しい味覚以外に、何か体に良いことはあるのでしょうか?
今回はしじみに含まれるグルタミン酸についてお話します。

グルタミン酸とは

グルタミン酸は人体を構成する20種類のアミノ酸の一つで、人体で合成可能な非必須アミノ酸です。
グルタミン酸は小麦のたんぱく質のグルテンから発見されたのがその名の由来です。
グルタミン酸といえば昆布が真っ先に思い浮かびますが、可食部100g当たりでももっとも多い食材はグルタミン酸発見の由来となった小麦粉で29,000mg含有します。
他にも大豆たんぱくが主原料の湯葉が11,000mg、鰹節が9,800mg、豚肉が3,400mgで、意外ですが真昆布は1,700mg程度です。

しじみのグルタミン酸の量

一方しじみのグルタミン酸の含有量は生のしじみ可食部100g当たり860mgです。
これが水煮にすると1,800mgまで増加します。
これはしじみの身がたんぱく質のコラーゲンが豊富な筋繊維でできているためで、コラーゲンの10%がグルタミン酸でできています。
コラーゲンは熱で分解されやすく、水煮にするとコラーゲンからグルタミン酸が多く分離します。

なぜグルタミン酸を美味いと感じるのか

人間の舌には味覚を感じる感覚器官の味蕾があり、味覚の元となる化学物質が味蕾の受容体にキャッチされると甘味、苦味、酸味、塩味、旨味の基本5味の内いずれかを感じ取ります。
実はこの旨味を感じる感覚器官がグルタミン受容体で、この受容体がアミノ酸のグルタミン酸をキャッチすることで私たちは旨味として認知します。

グルタミン酸が多くても旨味を感じない

グルタミン酸が多ければ多いほど旨味を感じるかといえば、そうではありません。
魚類に多いイノシン酸や、きのこ類に多いグアニル酸と一緒に摂取することで相乗効果を発揮し、舌は旨味を7~8倍も強く感じます。
グルタミン酸はアミノ酸ですが、イノシン酸やグアニル酸は核酸で、他に有機酸であるクエン酸やコハク酸、乳酸も旨味として感じます。
しじみはコハク酸も多く含有しているため、旨味を濃く感じるのです。

グルタミン酸の役割

旨味としてのグルタミン酸は私たちの舌を楽しませますが、グルタミン酸は人体でどのような役割があるのでしょうか。
グルタミン酸の役割は以下の通りです。
1. アンモニアの除去
2. 疲労回復
3. 興奮性神経伝達物質
4. たんぱく質の合成
5. 保湿効果
6. 消化機能の向上

アンモニアの除去

脳や筋肉にストレスがかかると人体に有毒なアンモニアが発生し、思考力が低下したり体力を消耗したりして疲労感に襲われます。
グルタミン酸は脳に発生したアンモニアと自身を、グルタミン合成酵素を利用して結合させることで無害な同じアミノ酸のグルタミンを合成し、血流を通して肝臓や腎臓に運び再び代謝することでアンモニアを処理します。
つまりグルタミン酸は体内に発生したアンモニアの運び屋と言えます。

疲労回復

激しい運動を行うと筋肉内にあったグルタミンが分解されアンモニアが発生し、尚且つエネルギー源のグリコーゲンも消費します。
グルタミン酸を摂取すると、グルタミン合成酵素の働きで再びアンモニアと結合しグルタミンが合成されてグリコーゲンの回復を促すため、運動時に消費されたエネルギーを素早く回復し疲労の蓄積を防ぎます。

興奮性神経伝達物質

グルタミン酸は脳内で興奮性の神経伝達物質としての役割を担い、記憶や学習などに関わります。
特に一時的に記憶を保留整理し大脳への書き込みを行う海馬の記録保持時間を長引かせる効果があります。
海馬は感覚器官からもたらされる膨大な情報を記録すべきかどうか取捨選択する脳の器官で、海馬の記録保持時間が長くなると必要情報と見なされ大脳に記憶される確率が高まります。

また中枢神経系の大部分の神経細胞がグルタミン酸に対して反応し、統合失調症やうつ病、アルツハイマー病などに関わりがあります。
脳で神経伝達物物質として使われるグルタミン酸は、肝臓から脳内に送られるグルコースを代謝することで調整されているので、食事で摂取したグルタミン酸がすぐさま脳に作用することはありません。
しかし脳内では1時間に実に700gのグルタミン酸が代謝を繰り返し使用されています。

たんぱく質の合成

グルタミン酸は自然界で最も多いアミノ酸で、あらゆる生物の中に存在します。
生物の体はたんぱく質でできており、ほとんどのたんぱく質の代謝でグルタミン酸が関わります。

保湿効果

皮膚の保湿には皮膚の細胞内にあるNMF(天然保湿因子)が関わっており、その構成物質の40%がアミノ酸で、グルタミン酸はそのアミノ酸の中の重要な構成物質です。
グルタミン酸を食事で摂取することで皮膚の保湿効果が高まり、乾燥による肌荒れを予防できます。

消化機能の向上

胃の粘膜の中には胃酸や消化酵素の分泌を抑制するホルモンを作り出すソマトスタチン細胞が存在し、空腹時に過剰な胃酸で胃壁が侵食されないように保護する役割がありますが、この細胞内にグルタミン酸受容体が多数存在しています。
グルタミン酸が胃の粘膜に取り込まれると、受容体が反応してソマトスタチン細胞の作用が低下し、胃酸や消化酵素が分泌されスムーズな消化を促します。

まとめ

しじみは旨味成分のグルタミン酸を豊富に含有する食品です。
グルタミン酸は非必須アミノ酸で、体内では神経伝達物質、アンモニアの除去、たんぱく質の代謝など多くの分野で関わりがあり、食事で摂取すると疲労回復や肌の保湿、また食物の消化を促す効果を発揮します。
しじみは水煮にすることでグルタミン酸の量が増えるので、毎日の食事にしじみのみそ汁を加えることで、グルタミン酸の様々な健康効果の恩恵を受けることができます。
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