シジミに含まれる鉄分

しじみは鉄分の宝庫

昔から二日酔いや疲労回復に効果があることで知られているしじみ。
オルニチンが多分に含有されていることが要因ですが、しじみは他の栄養素も多分に含有されており、その一つに鉄分があります。

しじみは100gあたりに鉄分を5.3mg含有します。
厚生労働省が定める成人一人あたり一日に必要な鉄分は男性で7.5mg、生理のある女性で10.5gですから、しじみは相当量の鉄分を含有していると言えます。
しかし、鉄は人体でどのように使われるか、今ひとつ分からない栄養素です。
今回はしじみに含まれる鉄分と人体の関係についてお話します。

鉄分とは

鉄分とは文字通り金属の鉄のことです。
人体には成人男子で3.5~5g程の鉄分が存在しています。
そして2/3が赤血球のヘモグロビンの構成物質として存在し、1000mgが肝臓に貯蔵されています。
つまり鉄分とは血液と関係するミネラルなのです。

鉄分とヘモグロビン

ヘモグロビンは赤血球を構成するたんぱく質で、肺で取り込んだ酸素を体の末端まで運搬し、代謝で生じた二酸化炭素の一部を再び肺に届け呼吸とともに排出する役割を担います。
ヘモグロビンは鉄分を含む赤い色素であるヘムと、グロビンというたんぱく質で構成されます。
つまりヘムを構成する物質として鉄分が必要なのです。

鉄はイオン化が強い金属で、酸素が微量なら表面に酸化皮膜が形成され黒錆となりますが、酸化が進むと赤錆を形成します。
つまり血液が赤いのは鉄が酸素と結びつき錆びているためで、この赤錆をたんぱく質と結合させて体の各部位に運搬し、到着地点で酸素を還元する酵素で酸素を切り離します。
動脈の血が赤く、静脈の血がやや黒ずんでいるのは、酸素を多く運んでいるヘモグロビンの鉄分が赤錆の状態で、酸素が少ないヘモグロビンが黒錆の状態だからです。

ヘモグロビンの寿命は120日ほどで、寿命を終えると分解され毎日1mgの鉄分が体外へ排出されます。
鉄分は不足すると体内に酸素が十分に行き渡らないため貧血症を起こします。

鉄分には2種類ある

鉄分は体内で生産できないので、食事で補わなければなりません。
実は私たちが普段食物から摂取している鉄分はタンパク質と結合するヘム鉄と、無機質であるミネラルの非ヘム鉄の2種類があります。
ヘム鉄はしじみをはじめレバーやうなぎ、青魚などの動物性食品に多く含有されます。
一方非ヘム鉄はほうれん草をはじめ大豆や小松菜などの植物性食品に多く含有されます。

私たちの普段の食生活で鉄分が豊富という理由で摂取する食物でも、実際に体に吸収されるのはヘム鉄で10~20%、非ヘム鉄に至っては2~5%に過ぎません。
これだけでも鉄分の補給が如何に難しいかがご理解いただけるでしょう。

鉄分だけではヘモグロビンは合成できない

貧血対策には鉄分の摂取が重要ですが、ヘモグロビンは鉄分を補給しただけでは合成されません。
ヘモグロビンの合成には鉄分の他に以下の栄養素が必要です。
たんぱく質
ビタミンC
ビタミンB12
葉酸

ヘモグロビンの合成

たんぱく質はヘモグロビンの構成物質です。
また葉酸はヘモグロビンのDNAに必要な核酸の合成に必要で、ビタミンB12は葉酸が核酸を合成する際に補助する関係にあります。
葉酸もビタミンB12のどちらが不足してもヘモグロビンのDNAを十分に生成できません。
ビタミンCは直接ヘモグロビンの合成とは関係ありあませんが、食物で一緒に摂取すると鉄分の吸収率を5~10倍に高める力があります。

しじみの鉄分

しじみは鉄分を豊富に含有しているばかりかではなく、ヘモグロビンの合成に必要なたんぱく質、ビタミンB12、葉酸も豊富に含まれています。
特にビタミンB12の含有量は食品の中でもトップクラスで、わずか30gで大人が1日に必要な量を摂取できます。
とはいえ、しじみだけではヘモグロビンを作りには十分ではありません。
しじみを上手に活かしながら効率的に鉄分を摂るにはどうすれば良いのでしょうか?

ヘモグロビン合成に有効なしじみ料理

しじみの鉄分はたんぱく質であるしじみの身の部分に含有されます。
一方ビタミンB12も葉酸も水溶性ビタミンなので、みそ汁などにすることで余すことなく摂取できます。
ビタミンB12も葉酸も同じビタミンB群ですが、ビタミンB12は動物性食品に多く、葉酸は植物性食品に多いので、しじみの葉酸の量だけではヘモグロビンを十分に合成できません。

葉酸を多く含む食品には大豆やほうれん草が挙げられます。
ほうれん草は鉄分や、その吸収を高めるビタミンCも豊富に含有しています。
しじみのみそ汁に納豆、ほうれん草のおひたしの組み合わせであればヘモグロビンの合成に有効な食事となります。
ただしほうれん草のビタミンCは水溶性なので、おひたしで湯通しする場合は短めにする必要があります。

まとめ

鉄分は血液中で酸素を運ぶヘモグロビンの構成物質として必要不可欠な栄養素で、不足すると貧血症に見舞われます。
しかも吸収率が悪いミネラルな上、ヘモグロビンの合成にはたんぱく質やビタミンB12、葉酸が必要不可欠です。
ヘモグロビンの量が影響する貧血は女性に多い症状で、加齢と共に食も細くなりがちです。
鉄分もビタミンB12も豊富なしじみのみそ汁とともに、鉄分と共にその吸収を高めるビタミンCと葉酸が豊富なほうれん草などの緑黄色野菜を一緒に摂取すると、食事の量を増やさずともヘモグロビンの生成能力を高められます。
食生活のひと工夫が、貧血症のリスクを低減してくれるのです。
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