しじみのメチオニンでも肝機能向上(しじみに含まれるメチオニン)

しじみのもう一つの肝機能向上アミノ酸・メチオニン

しじみは肝機能を良くする成分として遊離アミノ酸のオルニチンを多く含有しますが、それ以外にも肝機能を向上させるアミノ酸としてメチオニンを多く含有します。
オルニチンはしじみをはじめとした健康食品やサプリメントなどで盛んに目にしますが、メチオニンは余り聞きなれない栄養素です。
実はメチオニンは肝機能を良くする以外に、様々な効果がある大変有意義な成分です。
今回はしじみに含まれるメチオニンの効果についてお話します。

メチオニン

メチオニンは人体で合成することのできない9つある必須アミノ酸の中の一つで、成分として硫黄を含む含硫アミノ酸です。
体内で硫黄を含むシステインやカルニチン、タウリンなどのアミノ酸やたんぱく質の生合成や、生体膜の主要な構成成分のレシチンのリン酸化、細胞膜の主要な構成物質であるリン脂質の生成に関与しています。

しじみは可食部100gあたりメチオニンを150mg含有し、人は体重1kgあたり一日に10~15mgの摂取が理想です。
メチオニンは果物や畜肉や魚肉、野菜、豆類などに多く、普段の食事で不足する栄養素ではありません。

メチオニンの効果

メチオニンは食物として体内に吸収されると様々な場所で作用しますが、私たちの健康に関わる主な効果は以下の通りです。
(1)肝機能向上
(2)ヒスタミン抑制
(3)筋肉の老化防止
(4)抜け毛や皮膚病の防止
(5)うつ病改善

肝機能向上

メチオニンは肝臓で様々な役割を果たし、肝機能を向上させます。
メチオニンが肝臓で影響を及ぼす効果は以下の3つです。
(1)デトックス効果
(2)肝脂肪の防止
(3)アルコールの分解

デトックス効果

肝臓は様々な機能があり、解毒作用もその一つ。
私たちの体は三大栄養素以外に鉱物の鉄やカルシウム、亜鉛などのミネラルも必要ですが、一方で同じミネラルでも人体に有害な水銀や鉛、カドミウムなどの重金属も食物には含有されてしまっています。
これらは食物連鎖でより高位の動植物に蓄積される傾向にあり、私たちも普段の食事で知らず知らずの内に僅かですが摂取してしまいます。
これらの重金属は体内に入るとなかなか体外に排出されず、長い間蓄積され癌や腎臓病、肝臓病、神経障害やホルモン異常など体に様々な不具合を発症する原因となります。

メチオニンは必須ミネラルのセレンと結合して、セレノメチオニンとなりデトックス効果を発揮します。
セレノメチオニンは肝臓でキレーターとして活躍し水銀、鉛、カドミウムなどの有害金属を捕捉し、脳の神経細胞や中枢神経に蓄積されるのを防ぎ、尿や便と共に体外へ排出します。
メチオニンのデトックス効果で重金属の毒素による肝臓の負担が軽減し、肝機能が向上します。

肝脂肪の防止

肝臓に脂肪が蓄積すると肝臓の機能が低下します。
メチオニンはタウリンの生合成に必要な成分で、タウリンは肝臓で肝脂肪の原因となる中性脂肪を排出する効果があり、結果的に脂肪肝を防ぎ、血中コレステロールも減少させます。

アルコールの分解

メチオニンはビタミンB1、ビタミンCと共に作用することでアルコールの分解を促し、肝機能の働きを助け、飲み過ぎによる二日酔いを防止する効果があります。
しじみはビタミンB1、ビタミンCは含有しませんが、同じくアルコール分解時に肝機能を向上させ二日酔いの防止に効果のあるオルニチンは多く含有しているので、ビタミンB1、ビタミンCを含有する食品と一緒に摂取するとその効果が高まります。

ヒスタミンの抑制

ヒスタミンは神経伝達物質として機能し、血圧降下、平滑筋の収縮や血管拡張作用など生理現象に必要不可欠な成分です。
しかしアレルギー反応やケガなどの炎症作用で過剰に分泌されると、アレルギー疾患の原因になる場合もあります。
メチオニンはこのヒスタミンを抑制する効果があります。

ヒスタミン抑制の原理

ヒスタミンは脂肪細胞や脳、肝臓などに多く含まれます。
普段は不活性なので何もしませんが、外傷やウィルスなどの侵入で活性化し様々な生理現象を起こします。
一度活発化したヒスタミンを回収するのがヒスタミン-N-メチルトランスフェラーゼ (HNMT)酵素で、活性メチオニンのS-アデノシルメチオニンを消費することで代謝します。
S-アデノシルメチオニンの生産場所が肝臓で、しじみが含有するオルニチンと共に肝機能を向上させることがヒスタミンによるアレルギー症の発症を軽減することに繋がります。

筋肉の老化防止

メチオニンは筋肉中に蓄えられるエネルギー源のクレアチンの材料になる成分です。
クレアチンは核酸の一種で、無酸素状態での筋肉運動や脳細胞でエネルギーとして消費されます。
クレアチンは肝臓でグアニジノ酢酸とS-アデノシルメチオニンを代謝して生産します。
クレアチンを筋肉内に蓄えて筋トレを行うと、加齢による筋肉の退化の進行を阻止できます。

抜け毛や皮膚病の防止

皮膚を作る主要な非必須アミノ酸のシステインは肝臓でメチオニンを材料にして生成します。
メチオニンが不足すると皮膚組織が作れず、また生成時にはビタミンB群の葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12が必要不可欠です。
しじみは葉酸の含有量は微量ですが、ビタミンB6は比較的多く、ビタミンB12は非常に豊富です。

また毛髪の主成分であるケラチンは微量ですが硫黄を含み、その原料となるのが含硫アミノ酸であるメチオニンです。
毛髪の構成物質としては1%に過ぎませんが、メチオニンが無ければ毛髪を作ることができません。
メチオニンは皮膚や髪の毛の生成に必要不可欠な成分なので、十分に摂取することで抜け毛や皮膚病を防止できます。

うつ病改善

メチオニンは神経伝達物質に深く関わりのあるアミノ酸です。
海馬で記憶の形成と強化を担う神経伝達物質のアセチルコリンの材料で、興奮系の神経伝達物質のアドレナリンをやる気を高めるノルアドレナリンにする効果もあります。
また「幸福ホルモン」と呼ばれるセロトニンや、快の感情を引き出すドーパミンの濃度を上昇させ、神経伝達物質の受容体への結合を促進する効果もあります。
これらの神経伝達物質は人のやる気や喜びといった感情を引き出す物質なのでうつ病の改善に役立ちます。

メチオニン摂取の注意点

肝臓で皮膚を作る非必須アミノ酸のシステインを生産する際、まず葉酸とビタミンB12がメチオニンを代謝して中間代謝物質としてホモステインを作り、次にビタミンB6が補酵素として働き皮膚を作るシステインに合成されます。
しかしビタミンB群が不足すると過剰に生産されたホモステインが肝臓のLDLコレステロールと結合し、血管に付着して酸化し動脈硬化を引き起こします。
また、メチオニンを大量に摂取すると体のカルシウムが排出されて骨粗しょう症を引き起こす場合もあります。

しじみはメチオニン以外にもビタミンB群とカルシウムが豊富なので、しじみでメチオニンを摂取している限りこれらの問題はありませんが、サプリメントで単独で摂取する場合は過剰摂取に注意が必要です。

まとめ

しじみのメチオニンもオルニチンと同様に肝機能を向上させる効果がありますが、作用する機能が異なります。
メチオニンは肝臓でデトックス効果やタウリンの生産で肝脂肪の予防に効果を発揮し、さらにアルコールの分解も行うので、オルニチンと共に相乗効果を発揮します。
またアレルギー反応の原因物質であるヒスタミン抑制し、老化による筋肉の退化を防止するクレアチンの生成、髪の毛や皮膚を作るシステインの合成にも使われ、更にはやる気を高める神経伝達物質に作用するのでうつ病の改善にも効果を発揮します。
メチオニンとオルニチンを豊富に含有するしじみはまさに天然の肝臓薬と言っても過言ではありません。
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