しじみと梅干しで医者いらず(しじみと梅干しの相乗効果)

しじみと梅干しで健康増進

おにぎりの具の定番でもある梅干しは日本人にとって最も馴染みのある保存食の一つ。
古くから「梅はその日の難のがれ」とか、「番茶梅干し医者いらず」といった格言からも分かるように、梅干しは疲労回復や食中毒に効果があることでも知られています。
同じく日本の食卓の定番で疲労回復に効果があるとして最近注目を浴びているしじみも、江戸時代から「しじみよく黄疸を治し酔を解す」とその薬効が知られている食品です。
しじみと梅干しを一緒に摂取すると何か良い効果があるのでしょうか?
今回はしじみと梅干しの相乗効果についてお話します。

梅干しとは

梅干しは梅の果実を天日干しにした後、赤紫蘇を用いて染色し、塩漬けにした保存食です。
梅の実は未成熟だとアミグダリンという青酸配糖体が含まれ、これが腸内酵素のエムルシンに分解されると人体に有毒な青酸(シアン化合物)になるので食べることができません。
そのため梅は完熟させるか、梅干しやアルコール漬けにすることでアミグダリンが無毒化され食べることができます。

梅干しの起源

梅干しの起源は中国で、梅を漬けることで生じる梅酢を採ることが本来の目的でした。
梅干しはその副産物です。
梅酢は消毒薬や金属に酸化被膜を作る錆止め薬として用い、梅干しは黒焼きにして腹痛や解熱、腸の消毒を目的とした漢方薬に用いられました。

日本の梅干しの歴史

梅が日本に渡来したのは7世紀に遣唐使の小野妹子が「烏梅」という漢方薬として持ち帰ったのが始まりです。
その後、花の鑑賞と漢方薬の生産を目的として梅の栽培が始まり、平安時代には梅干しを食品として用いるようになりました。
戦国時代には戦場の保存食や傷薬、食中毒の薬として重宝され、江戸時代に現在と同じような梅干しの製法が確立すると一気に庶民の食卓に上るようになります。
料理の味加減を表す言葉に「塩梅」がありますが、江戸時代中期に醤油が普及するまで梅干しが調味料代わりに用いられていたのが由来です。

梅干しの栄養素

梅干しは果実ですが、果実に多いビタミンCは含有せず、他のビタミン類の含有もごく僅かです。
一方で必須ミネラルはセレン以外のミネラルを全て含有します。
塩で漬けているのでナトリウムがずば抜けて高いのは仕方がないのですが、他にカリウム、マグネシウム、鉄、銅を比較的多く含有するので、梅干しはミネラルが豊富な食品であると言えます。

実は梅干しは一般的な栄養素より、梅干し自体が持つ他の栄養素の方が健康に大きな効果を発揮します。
梅干しの有益な成分は以下の通りです。
(1)クエン酸
(2)梅リグナン
(3)オレアノール酸
(4)バニリン
(5)ベンズアルデヒド
それぞれどのような成分なのか詳しく見ていきましょう。

クエン酸

梅干しの酸味は梅干しに含まれる様々な有機酸によって生じますが、その主成分となるのがクエン酸で、梅干し以外の果実では柑橘類が多く含有する成分です。

クエン酸とエネルギー生産

クエン酸は人の細胞内のミトコンドリアにあるエネルギー生産を担うクエン酸回路に必要不可欠な成分です。
クエン酸を摂取するとクエン酸回路が活性化し、エネルギーをより多く生産できます。
運動後にレモンを摂取すると疲労感が取れるのは、レモンに多いクエン酸の効果によるものです。

クエン酸とサラサラ血液

梅干しは酸っぱいので酸性の食品と思われがちですが、実は強アルカリ性の食品です。
人の体は健康状態では弱アルカリ性ですが、肉類を多く摂取したり激しい運動をしたりすると酸性に傾き疲労が蓄積し、特に運動後は血液に乳酸が放出されドロドロの血液の原因となります。
クエン酸を摂取すると酸性化した体を中和して弱アルカリ性に戻し、クエン酸回路を活性化して乳酸をエネルギーに代謝して疲労回復を早め、更にドロドロの血液をサラサラに変える効果があります。

梅リグナン

梅干しは100gあたり梅リグナンを500μg含有します。
梅リグナンは梅干しが含有する植物性のポリフェノール類の総称で、抗酸化作用や殺菌作用があります。
梅リグナンが含有する主なフェノール類は以下の4つで、それぞれ効果が異なります。
効果
シリンガレシノール ヘリコバクターピロリ菌の活動を抑制し、死滅させる
ピノレシノール 細胞の酸化の阻止、抗炎症作用
エポキシリオニレシノール インフルエンザウィルスの増殖抑制
リオニレシノール 抗酸化作用。DNAの突然変異を抑制
上記の中でもシリンガレシノールは血管収縮作用のあるホルモンのアンギオテンシンⅡの活動を抑制する作用もあり、動脈硬化を予防する効果があります。

オレアノール酸

梅干しは天然化合物のテルペノイドとしてオレアノール酸を含有します。
オレアノール酸は小腸で糖質の吸収を促す酵素であるα-グルコシダーゼの活性化を抑制する作用があります。
糖質の吸収を遅らせると血糖値の上昇を抑えられるので糖尿病の予防になります。

バニリン

梅干しはバニラの香り成分であるバニリンを含有します。
バニリンはダイエットに有効で、小腸で吸収されると体内の脂肪細胞を刺激して脂肪を燃焼する効果があります。

ベンズアルデヒド

梅干しの香りの成分の一つであるベンズアルデヒドには抗炎症作用があり、医薬品のアスピリンと同程度の鎮痛作用があります。
「こめかみに梅干しを貼ると頭痛が治る」と言われますが、揮発性が高く酸化の速度も早いので梅干しの香りを嗅ぐだけでも効果を発揮します。

烏梅

「梅は三毒(食中毒、水あたり、血の毒)を絶つ」という言葉があるように、小野妹子が持ち帰ったのが漢方薬の「烏梅」ですが、中国では「ウーメイ」と発音するので、これが日本語の「うめ」の語源であると言われています。
烏梅は未成熟の梅の実を燻蒸処理したもので、古くから肝臓、脾臓、肺、大腸の病に効果があるとされ、解熱や鎮痛剤、食中毒や下痢の緩和に用いられます。
実は梅を加熱すると2つの効果が高まります。
一つは梅が含有するバニリングルコシドの分解が進み、バニリンが20%増加し脂肪燃焼効果が高まります。
もう一つは梅のクエン酸がムメフラールという独自の成分に変わり、血行を良くする効果を発揮します。
古代の人は梅を加熱することで薬効が高まることを経験上知っていたのです。

しじみと梅干しの相乗効果

梅干しの成分は人体に有益な様々な効果を発揮しますが、しじみと一緒に摂取するとお互いに持つ健康への効果を高めることができます。
しじみと梅干しを摂取すると、以下の症状で相乗効果を発揮します。
(1)疲労回復
(2)骨の形成
(3)動脈硬化の予防
(5)鎮痛作用

疲労回復

梅干しはクエン酸がミトコンドリア内のクエン酸回路に作用してエネルギー代謝の効率が高まることで疲労回復効果を発揮します。
しじみが含有するオルニチンは、疲労時に発生する人体に有害なアンモニアを肝臓で無毒化する作用を高める効果があります。
疲労や加齢が原因で肝臓のアンモニア処理能力が低下すると、体内にアンモニアが蓄積してクエン酸回路があるミトコンドリアの活動を低下させます。
オルニチンがアンモニアの処理能力を高めるとミトコンドリアの活動が活性化し、クエン酸と共にエネルギーを効率よく生産できるため疲労回復が早まります。

骨の形成

しじみはカルシウムが豊富な食材ですが、カルシウムは体内への吸収が非常に悪いミネラルです。
カルシウムは胃酸によって溶けてイオン化し小腸で吸収されますが、加齢やストレスなどが原因で胃酸の分泌が弱まると、それだけカルシウムがイオン化されなくなります。
クエン酸は胃酸に代わってカルシウムを溶かす作用があり、しじみと一緒に摂取するとカルシウムの吸収力が高まります。
また、しじみのオルニチンは骨の成長に必要な成長ホルモンの分泌を促進する効果があるので、骨の形成が効率よく行えます。

動脈硬化の予防

梅干しのシリンガレシノールは血管を収縮させるホルモンを抑え、クエン酸がサラサラの血液を保つことで動脈硬化が予防できます。
しじみはオルニチンが肝機能を高めることで、肝臓で生産する動脈硬化の原因となるLDLコレステロールの過剰生産を抑制します。
また、しじみが含有する脂溶性の抗酸化物質であるビタミンEは、血管に付着する脂肪の過酸化脂肪化を抑制するので動脈硬化を予防できます。
しじみと梅干しでは動脈硬化で作用する効果が異なるので相乗効果が見込めます

鎮痛作用

梅干しのベンズアルデヒドや、梅リグナンのピノレシノールは抗炎症作用と鎮痛効果があります。
しじみは人に痛みを感じさせる末梢神経を整えるビタミンB12が豊富で、神経伝達物質や神経の働きを正常に保つビタミンB6、抗炎症物質としても作用する亜鉛を多く含有します。

まとめ

古くから薬効が知られる梅干しで大きな力を発揮するのが、豊富に含有する酸味の主成分のクエン酸と、植物性ポリフェノールである梅リグナンです。
クエン酸はエネルギーの生産効率を高め疲労を回復し、梅リグナンは抗酸化物質として抗炎症作用や殺菌作用を発揮し、さらに動脈硬化も予防します。
しじみと梅干しを一緒に摂取するとお互いに持つ栄養素を補完し合い、疲労回復を早め、動脈硬化予防の効果を高め、骨の形成を促進し、鎮痛作用も強化されます。
しじみも梅干しも毎日の食事に習慣づけられる食材なので、継続して摂取することで健康を維持でき、医者いらずの生活を実現できます。
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