老化防止のポリアミンとしじみ(しじみとポリアミン)

しじみとポリアミンの関係とは

みなさんはポリアミンという栄養素を知っていますか?
実はポリフェノールなどの抗酸化物質と並び、アンチエイジングに効果があるとして最近注目を浴びている成分です。
しじみはこのポリアミンと深く関わる栄養素を豊富に含有しています。
今回は、しじみとポリアミンの関係について詳しくお話します。

ポリアミンとは

ポリアミンとは、アンモニアから水素原子を一つ除いた物質であるアミノ基が3つ以上結合した直鎖脂肪族炭化水素の総称で、生体アミンの一種です。
生体アミンの仲間にはくしゃみや炎症を起こすヒスタミンや、筋肉を収縮する神経伝達物質のアセチルコリンが有名です。
実は、人体に最も多く存在する生体アミンはこのポリアミンです。

人体には主にアミンが2個結合したプトレスシン、3個のスペルジン、4個のスペルミンをはじめとした20種類以上のポリアミンが存在します。
これらのポリアミンは私たちの人の体はもとより、小さなウイルスの細胞内などあらゆる生物に存在し、細胞分裂や分化を促進する成長因子として機能します。

ポリアミンの効果

ポリアミンは、1678年に牛の精子から発見され非常に古い歴史を持つ成分で、現在でも様々な研究が行われています。
ポリアミンは主に以下の3つの効果が確認されています。
(1)遺伝子複製の正常化による老化防止
(2)細胞分裂の促進
(3)動脈硬化予防

遺伝子複製の正常化による老化防止

私たち人間の細胞は日々細胞分裂を繰り返すことで新陳代謝が行われ、生体の各器官を正常に保っています。
細胞分裂には遺伝子情報を記録しているDNAや、DNAの情報を基に遺伝子情報の複写や細胞の生成に必要なアミノ酸を収集し合成するRNAが深く関わります。
しかし、加齢や活性酸素、ストレスなどが原因でDNAやRNAの機能に欠損が生じると、遺伝子が正常に複写されないため、老化現象となって各器官に不具合が生じます。

細胞内のポリアミンの大部分は、DNAやRNAの核酸と結合して存在しています。
これは生命体として最も重要な設計図の遺伝子が、外的要因で突然変異を起こさないように安定化させるためです。
ポリアミンの作用で細胞が正しく複製されれば、各器官の老化も発生せず、若々しさを保てます。

細胞分裂の促進

細胞内で核酸に結合して存在しているポリアミンですが、DNAよりRNAの方により多く結合し、その作用はRNAと強く関係しています。
RNAはDNAの情報を基に、遺伝子情報の複製とたんぱく質の合成に関わります。
そのため、ポリアミンは体内では前立腺や膵臓、唾液腺など細胞分裂やたんぱく質の合成が盛んな器官の細胞により多く存在しています。

ポリアミンを摂取すると、細胞内のポリアミンの量が増えるため、細胞分裂が促進され、新陳代謝能力が上がります。
実際に細胞分裂を盛んに行う乳児の栄養原である母乳は、ポリアミンを多く含有します。
逆に、ポリアミンが無ければ細胞のたんぱく質の合成が行えないため、細胞分裂ができなくなります。

動脈硬化の予防

白血球は異物を発見すると、サイトカインと呼ばれる異物を攻撃する白血球を呼び寄せる特殊なたんぱく質を放出します。
血管内壁に動脈硬化の元となる悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールが付着し酸化すると、白血球が異物とみなしサイトカインを放出します。
このサイトカインを合図として、異物を攻撃する白血球が集まります。

攻撃目標を見つけた白血球は、目印となるLFA-1(インテグリンと呼ばれる接着分子)という鍵を出します。
サイトカインで集まってきた白血球の中からLFA-1と鍵穴の関係になるインテグリンのICAMを持つ白血球が、これと結合します。
そして、LFA-1と結合した白血球が血管内皮細胞に侵入し、酸化したコレステロールを攻撃するサイトカインを放出して炎症を起こし、動脈硬化を引き起こします。

この炎症を誘発するLFA-1は加齢とともに増加することが知られており、LFA-1が増えるごとに動脈硬化のリスクも高まります。
ポリアミンはこのLFA-1の増加と、サイトカインの生産を抑制するため、血管内の炎症作用を抑え動脈硬化のリスクを予防できます。

ポリアミンの摂取

ポリアミンは分子構造が小さく、しかも熱や酸などによる減少も非常に少ない物質です。
ポリアミンは全ての生物の細胞内に存在しているため、食事での摂取が可能で、ポリアミンの多い食事を長期間行うと、体内のポリアミン量が増加します。
ポリアミンは大豆発酵食品、チーズなどの発酵食品、きのこ類、鶏肉に多く含有されます。
また、腸内細菌もポリアミンを作り出しているので、腸内細菌を活性化するとポリアミンを摂取できます。

しじみとポリアミン

しじみはポリアミンと非常に相性が良い食品です。
しじみの細胞の中にもポリアミンは存在しますが、実はしじみを特徴づける栄養素のオルニチンとポリアミンは密接な関係があります。
ポリアミンはオルニチンを基に体内で合成ができるのです。

オルニチンとポリアミン

細胞内でオルニチンがオルニチン脱炭素酵素の作用を受けると、アミンが2個結合したポリアミンであるプトレスシンが生成されます。
このプトレスシンはスペルミジン合成酵素によりアミンが3個のスペルミジンに、スペルミジンはスペルミン合成酵素によりアミンが4個のスペルミンに代謝されます。
つまり、体内のポリアミン量を増やすために、オルニチンの多いしじみは非常に効果的な食品と言えます。

しじみとポリアミンの相乗効果

しじみはポリアミンを生産するオルニチンを多く含有するばかりでなく、ポリアミンの効果である細胞分裂や動脈硬化の予防に症状効果をもたらす栄養素も数多く含有します。

しじみと細胞分裂

細胞分裂ではポリアミンはDNAの情報の保持、RNAによるDNA情報の複写とたんぱく質合成に深く関与します。
しじみは遺伝子情報の複写に作用するビタミンB12と葉酸、たんぱく質の合成に関与するビタミンB6を含有します。
また、細胞分裂にはしじみが多く含有する必須ミネラルの亜鉛も深く関与します。
これらの栄養素がポリアミンとの相乗効果で細胞分裂を促進し、新陳代謝を高め、老化防止に効果を発揮します。

しじみと動脈硬化の予防

白血球の攻撃対象となる血管内のLDLコレステロールの付着は、肝機能の衰えで肝脂肪が蓄積し、LDLコレステロールが過剰生産されるのが原因です。
肝臓の機能の一つとして体内で発生した有毒なアンモニアを血液で回収し、無毒な尿素に代謝する役割があります。
しかし、加齢で肝機能が低下すると回収したアンモニアの処理が間に合わず、肝臓にエネルギーを供給する肝細胞内のミトコンドリアの活動を阻害します。
そのため、肝臓に蓄積した脂肪がエネルギーに代謝されず、結果としてLDLコレステロールが過剰に生産されます。

オルニチンは肝臓でのアンモニアの代謝に必要不可欠な栄養素で、しじみでオルニチンを摂取するとアンモニアの処理能力が高まり、ミトコンドリアの活動も活性化されます。
結果として脂肪がエネルギーに代謝されるので、肝臓の脂肪が減少し、動脈硬化の原因である血中のLDLコレステロールも減少します。
また、しじみは脂質をエネルギーに代謝する際に必要不可欠なビタミンB6、血管に付着したLDLコレステロールの酸化を防ぐ抗酸化物質のビタミンEも豊富です。
これらの栄養素がポリアミンの抗炎症効果と相乗効果を発揮し、動脈硬化を予防します。

まとめ

ポリアミンは生物の細胞内に存在し、DNAの情報保持や、RNAの遺伝子情報の複写とタンパク質合成に深く関与します。
ポリアミンがないと細胞分裂が行われないため、生命維持に無くてはならない物質です。
また、ポリアミンは炎症を誘発する物質を抑制する効果もあり、動脈硬化の予防にも役立ちます。
ポリアミンは食物や腸内細菌でも摂取でき、体内のポリアミン濃度が上がると細胞分裂が促進され、老化を予防できます。
またポリアミンは体内でオルニチンを代謝することで生産が可能で、オルニチンが多いしじみは体内でポリアミンを増やすには最適な食品です。
さらに、しじみは細胞分裂と関わるビタミンB6やビタミンB12、葉酸、必須ミネラルの亜鉛も多く含有します。
また、脂肪を燃焼させるビタミンB2や、血管内に付着した脂質の酸化を防ぐビタミンEも豊富に含有するので、動脈硬化に対してもポリアミンとの相乗効果を発揮します。
毎日のしじみの摂取が、若さと健康を保つ秘訣です。
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