しじみの身は良質なたんぱく質

毎日のしじみのみそ汁で、健康を気遣っている方も多いと思います。
しじみはよい出汁が出る一方で、身は小さくて食べづらいので、ついつい汁だけ飲んで身は残してしまってはいませんか?
しじみの身は小さくとも、その身は非常に良質なたんぱく質です。
たんぱく質と言うと太る原因と考える方もいるかと思いますが、たんぱく質は私たちの体に必要不可欠な栄養素です。
今回は、しじみのたんぱく質についてお話します。

たんぱく質とは

たんぱく質は、糖質、脂質と並び、私たちの体でエネルギーとして代謝される三大栄養素の1つに数えられます。
糖質と脂質が主に生体のエネルギーとして使用されるのに対し、たんぱく質は私たちの体の組織の構成成分として使われ、私たちの体重の1/5はたんぱく質でできています。
たんぱく質は構成する分子は炭素、酸素、窒素、水素が必ず含まれます。
たんぱく質は20種類のアミノ酸が結合した化合物で、その組み合わせと結合したアミノ酸の数によって種類や性質が異なります。

たんぱく質は毎日補給する必要がある

食物で摂取するたんぱく質は動物性と植物性がありますが、いずれのたんぱく質も胃酸などの消化液でアミノ酸に分解されます。
アミノ酸は腸管で吸収され、門脈を経て肝臓に運ばれます。
肝臓に運ばれたアミノ酸は、肝臓で作用する肝たんぱくや、血液の成分である血清たんぱくに合成されます。
また、一部のアミノ酸は他の非必須アミノ酸に代謝され、血液を通じてそれを必要とする器官に運ばれます。
一方で、エネルギーとしても消費され、その場合は最終的に尿素に代謝され、尿とともに排泄されます。
そのため、食物で常にたんぱく質を補給する必要があります。

たんぱく質を構成するアミノ酸

たんぱく質は20種類のアミノ酸の組み合わせで構成されます。
アミノ酸の中には体内で合成できないため食物で摂取しなければならない必須アミノ酸と、他のアミノ酸を代謝して体内で合成が可能な非必須アミノ酸に分けられます。
必須アミノ酸は
ヒスチジン
イソロイシン
リシン
メチオニン
フェニルアラニン
トレオニン
トリプトファン
バリン
ロイシン
の9種類です。

非必須アミノ酸は
アスパラギン
アスパラギン酸
アラニン
アルギニン
グリシン
グルタミン
グルタミン酸
システイン
チロシン
セリン
プロリン
の11種類です。

たんぱく質合成に重要な必須アミノ酸バランス

たんぱく質は、20種類あるアミノ酸のいずれかを一定の割合で構成すると体内で合成できます。
基本的には必須アミノ酸の9種類が揃えば全てのたんぱく質を合成できます。
しかし、特定の役割を担うたんぱく質の合成は、そのたんぱく質を構成するアミノ酸の必要量が全て揃わなければ合成できません。
例えば、私たちの髪の毛の主成分のケラチンは、頭皮を有害な紫外線や衝撃から守る特定の役割を果たすたんぱく質です。
ケラチンを1g合成するには、20種類あるアミノ酸の中18種類必要で、それぞれ以下の量だけ必要になります。
アミノ酸 必要量
シスチン(※1) 172mg
グルタミン酸 138mg
ロイシン 65mg
アルギニン 91mg
セリン 69mg
トレオニン 76mg
アスパラギン酸 49mg
プロリン 67mg
グリシン 41mg
バリン 56mg
アラニン 28mg
フェルアラニン 25mg
イソロイシン 48mg
チロシン 24mg
リジン 25mg
ヒスチジン 9mg
メチオニン 9mg
トリプトファン 8mg
(※1)シスチンは非必須アミノ酸のシステインが2分子結合したアミノ酸です。
この表の中で最後の必須アミノ酸のトリプトファンが仮に半分の4mgしかかなかった場合、他のアミノ酸が全て揃っていたとしても、合成できるケラチンは0.5gだけです。

このように体の各組織のたんぱく質を効率よく合成するためには、1日に必要な必須アミノ酸をバランスよく摂取する必要があります。

しじみの必須アミノ酸の含有量

しじみのたんぱく質含有量

しじみの身はたんぱく質でできています。
しじみの可食部100gあたりのたんぱく質の含有量は5.6gほどです。
一日に最低限必要なたんぱく質の摂取量は、体重1kgあたり0.65gなので、体重60kgの人であれば39gが必要となります。
しじみだけで、1日に必要なたんぱく質を全てまかなうには無理があります。
また、一回の食事で吸収できるたんぱく質の量は、せいぜい20g程度です。
そのため、しじみと他の食材をバランスよく組み合わせてたんぱく質を摂取することが肝心です。

しじみの必須アミノ酸含有量

一方で、しじみのたんぱく質は必須アミノ酸が全て揃っており、非常にアミノ酸のバランスが良い食品です。
しじみ可食部100gあたりに含まれる必須アミノ酸の量と、WHO(世界保健機関)で体重60kgあたりに必要とされる必須アミノ酸の量を見比べてみましょう。
必須アミノ酸 しじみ(可食部100gあたり) WTO摂取基準(体重60kgあたり)
バリン

300mg

1,560mg

ロイシン

380mg

2,340mg

イソロイシン

250mg

1,200mg

トリプトファン

75mg

240mg

リジン

400mg

1,800mg

メチオニン

150mg

624mg

フェルアラニン(+チロシン)

410mg

1,500mg

トレオニン

310mg

900mg

ヒスチジン

120mg

600mg

しじみの必須アミノ酸の中で一番含有率が低いのがロイシンです。
そのため、しじみの必須アミノ酸から体内で合成できる一日に必要なアミノ酸はロイシンを基準に見る必要があります。
体重60kgの人がしじみだけで一日に必要なアミノ酸を全て満たそうとした場合、可食部だけで約616g摂取する必要があります。
もちろんしじみ可食部616gを継続して摂取することは難しいので、他の食品と組み合わせて必須アミノ酸を摂取しましょう。

しじみは体内のタンパク質合成に有効

たんぱく質の役割

アミノ酸として体内に吸収されたたんぱく質は、主に肝臓で再び別の目的のたんぱく質に再合成されます。
体内で合成されるたんぱく質は様々ですが、役割別に主に以下のたんぱく質に分類されます。
種類 役割
酵素たんぱく質

代謝に関わり、触媒として化学反応に関与する

アミラーゼなど

構造たんぱく質

生体の器官を構成する

コラーゲンなど

輸送たんぱく質

何かしらの物質の運搬に関与する

アルブミンなど

貯蔵たんぱく質

栄養の貯蓄に関与する

フェリチンなど

収縮たんぱく質

筋肉などの運動に関与する

アクチン、ミオシンなど

防御たんぱく質

免疫系を担う抗体

グロブリンなど

調節たんぱく質

遺伝子や他のたんぱく質の調整に関与する

カルモジュリンなど

肝機能が衰えると合成されるたんぱく質の量も減少します。
そして血液中の血漿の主成分でたんぱく質のアルブミンの量も減少し、血液が水っぽくなる低アルブミン血症を引き起こします。
また、栄養を運べなくなり、体の各器官の新陳代謝も正常に行われなくなるので、栄養失調や各器官の不具合が発生します。

しじみは肝臓でのたんぱく質の合成を促進する

肝機能の衰えは、すなわちアミノ酸から体内に必要なたんぱく質を合成できない事態を招きます。
しじみは肝機能を高め、たんぱく質の合成に必要不可欠な栄養素を豊富に含有します。
それがしじみで有名なオルニチンと、ビタミンB群です。

オルニチンで肝機能が向上する

肝機能の衰えの原因となるのが、体内で発生するアンモニアです。
アミノ酸は窒素化合物で、窒素化合物の最も小さな物質がアンモニアです。
アミノ酸やたんぱく質を代謝すると、最後に余った物質としてアンモニアが生じます。
このアンモニアは人体に有害な物質で、体中に発生したアンモニアは血液を通じて肝臓に集められ、無毒な尿素に代謝された後、尿と共に体外に排出されます。

しかし、肝臓にはたんぱく質の合成をはじめ、他にも様々な機能があります。
加齢や肥満、ストレスなどで肝機能が衰えるとアンモニアの処理が間に合わなくなり、アンモニアの毒で他の機能も麻痺してしまいます。
オルニチンは肝臓でアンモニアを代謝して無毒化する際に必要不可欠な栄養素です。
しじみでオルニチンを摂取すると、アンモニアの処理能力が高まります。
肝臓のアンモニアの量が減少すると、肝臓の他の機能も活性化するので、たんぱく質の合成も活性化します。

ビタミンB群がたんぱく質の合成に関与する

アミノ酸をたんぱく質に合成するには、補酵素として作用するビタミンB群が必要不可欠です。
しじみはビタミンB群の中でも、ビタミンB2、B6、B12が豊富です。
ビタミンB2は肝臓でアミノ酸から皮膚や粘膜などのたんぱく質を合成するのに関与し、ビタミンB6は筋肉や血液などのたんぱく質の合成に関与します。
ビタミンB12は骨髄の造血幹細胞でたんぱく質のヘモグロビンや、神経細胞などの合成に関与します。
しじみは良質なたんぱく質を含有する以外に、体内のたんぱく質の合成にも非常に有効な食品です。

まとめ

たんぱく質は私たちの体の組織を構成する重要な成分で、たんぱく質の種類によって様々な役割を担います。
食物として摂取したたんぱく質は消化液でアミノ酸に分解され、腸で吸収し、肝臓で再び体内で必要なたんぱく質に再合成されます。
しじみの身のたんぱく質量は僅かですが、たんぱく質を体内で合成する際に必要な必須アミノ酸全てをバランスよく含有した良質なたんぱく源です。
たんぱく質が不足すると体の器官に様々な不具合が生じるので、毎日のしじみのみそ汁でその身までしっかり食べることで健康を維持できます。
人気記事-popular column-